ま、まってくれ。とても覚えられそうにない。
お客は、早口で説明する店員をせいすると続けた。
 だいたいメールとプラウジング以外に、こんな機能が必要なのか。かえって不便だと思わないか。
 そう言われましても、相手が使用している以上、共有する情報の認識に行き違いが生じますし、この機能は今やあたり前で。
なぜ、こんなことが分からないのかといった様子の店員が、もっと簡単な説明方法はないかと考えている傍らで、お客は、まったく別のことを考えていた。
 ほんの数年前の大人も、きっと、こんな思いをしていたに違いない。近ごろ、覚えなければならないことが、加速度的に増えたような気がする。
まだハタチ前のお客は、ロボットの店員を前に年寄りのように落ち込んだ。

vol.103
Mm by syun
*Mm登録解除
*自作Mm投稿