偉大な発明家のものとして、この文章を公にされたらまずいからな。
教授は卒業真近の彼の小学生時代に到着すると、そう言って自分の書きしるした卒業文集の書き出しの部分を急いで書き換えた。
そして、安心してやって来た時代に帰ろうとマシンに乗り込んだ瞬間、マシンと共に自分の身体と記憶が急激にうすれ行くのを感じて声を上げた。
 し、しまった!目的をなくしたわたしの未来が消えてゆく!
タイムマシンを完成させた教授は、自分の現在の存在が卒業文集を書き換えたい欲求に根ざしていたことに、この時初めて気付いたのだ。
しかし、時の流れは再度彼の卒業文集を「世界中の人々を幸せにするために..」から元の「俺をバカにした奴らを見かえしてやるために..」に書き換えることを許しはしなかった。
こうして、科学者としての彼は偉大な発明と共に完全に消失した。

vol.184
Mm by del
*Mm登録解除
*自作Mm投稿