そういえば、一緒に応援してみえたお友達はお元気ですか?
 実は、この子はあの夜にできた子で、ぼく達結婚したんです。
あの夜、青年に寄り添いキャーキャーと声を上げていたミーハーな女の子をなつかしく思い浮かべながら、中年の男がたずねると、青年は自分のうしろに恥ずかしそうに隠れる息子をうしろ手で押さえながら照れくさそうに笑って答えた。
 おじさま、お久しぶりです。
ふいに、すっかり母親らしくなったあの時の女の子に声をかけられて、中年の男は嬉しそうに口にした。
 やあ、それはおめでとう。すっかり立派なお母さんですね。
時は、無謀で非常識な若者を見事なまでに大人へと成長させるものなのだ。日本の未来も捨てたものじゃない。中年の男は満足気にその親子をまぶしそうにながめた。
すると、母親はそんな中年の男の態度に気をよくしたのか、父親のうしろの息子にあいさつを促した。
 このおじさんはね、ママ達のお友達よ。ちゃんとあいさつしなさい、ベッカム。

vol.224
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