見るもの聞くものハクチョウづけの生活に明け暮れたアヒルは、いまや行動やリアクションさえ、ハクチョウそのものだ。やがて大人なって恋した相手さえ、みんなハクチョウによく似たアヒルだった。
  そろそろ、わたしも本物のハクチョウと認めていただけますか。アヒルがハクチョウに尋ねた。
  クゥアー。ハクチョウは高笑いをすると、答えた。おまえが、どんなにわたしをまねようと、アヒルはアヒル。ハクチョウには決してなれはしないのだよ。おまえがハクチョウだと思ってくれた方が、わたしにとって都合がよかっただけさ。
  日本人と呼ばれるアヒルは、やっと自分がアメリカ人と呼ばれるハクチョウとは違う、みにくいアヒルの子だったことに気づくと、ガーガーといつまでも鳴き続けた。

vol.39
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