ユリの栽培法


球根の選び方
 下のような条件で選びましょう。
  ・球根は大きく、重いもの(球根の大きさが花の大きさや数を反映します)。
  ・外側に傷やカビが無いもの。
  ・外側の鱗片がしおれていないもの。
  ・斑点のないもの。
 球根の下の部分に白くて大きな根(下根)が付いているのもいいでしょう(これは切ってはいけません!)。
 
植え付け時期・場所
 植え付け時期は10〜11月が最適です。12月〜1月でも可能ですが、根の発育が遅れる分、咲くのが遅くなったり小さくなったりする可能性があります。
 球根はベントレート500倍溶液等に30分浸して消毒し、日陰で乾燥した後に植え付けます(何日も放って置かないこと!)。
 植え付け場所はロンギフォーラム系、アジアチック系は日当たりの良い場所、オリエンタル系は午前中の日光が当たるような明るい半日陰が適しています(カノコユリは日当たりの良い場所)。いずれも水はけがよく、土表面が乾かない方がいい。
 ユリは地表の高温を嫌います。自然界では雑草が生えて地面を覆ってる環境に生えており、その草が地表面に直接日光が当たるのを防いでいるので高温になりにくくなっています。栽培においても他の小さい植物を混植したりすると良いでしょう。
 ヤマユリなどは木漏れ日の当たるような庭木の下などが適しています。
 西日の当たる場所、高温多湿な場所は避けましょう。日光が強いと葉焼け(葉が焼けて茶色くなってしまう)を起こしてしまいます。

植え付け方
 植える種類の花の大きさ、背丈、球根の大きさ等を考えて間隔をあければいいのですが、翌年も花を咲かす球根を取りたいのなら広めが良い。使い捨て感覚ならやや狭い目でも良い。
 球根間は通常球根3つ分くらいあけます。
 深さは球根の上に15〜20cmくらい土がかぶる深さが良い。ユリは球根の下からだけではなく、上からのびる茎の基部からも根(上根)が出て養分を吸収します。この根が充分に伸びるためと、地表の高温の影響から守るために深く植えます。
 鉢植えでも1年で使い切る観賞用なら浅い鉢で密でも良いのですが、翌年も使うなら深い鉢に1つ植えなどします。
 培養土は、土に腐葉土を混ぜ(土70%、腐葉土30%程度の割合)、緩効性肥料を適度に混ぜ合わせます。前年度ユリの栽培に使った土は原則使いません(病気予防のためです。使う場合は消毒しましょう)。
 下根がある場合はその根を充分に広げて植え付けます。

水やり
 冬は雪も雨も降らず、土が乾燥したような場合にだけ水をあげます。芽は出なくとも地中で根が伸びつつあるので水分は必要です(やりすぎはいけませんが・・・)。
2〜3週間に1回、充分にあげればいいです。
 芽が出てきたら、土が乾いたときにあげます。梅雨の時には控えめにします。
 夏は充分にあげてください。
 花後は乾いたらあげてください。

追肥
 芽が出たら1回、花の咲く頃に1回追肥します。緩効性肥料を地表に蒔くか上層に混ぜ込んでください。
 他に月2回くらいの割合で液体肥料を水やりの感覚で与えます。

花後の手入れ
 花が終わったらその花の付け根から手で花がらや雌しべ等をちぎり取ります。そのままにしておくと種が出来て栄養がとられ球根が大きくなりにくくなります。充分熟した種を発芽、育成する事もできますが、花が咲く球根になるにはおおよそ3年以上かかりますので難しいと思ってください。気が長いのならいいでしょうけど(笑)。
 種からの育成は新たな交雑種を作るときはいい方法です。病気も伝搬されません。
 なお、花がら摘みはハサミ等器具は使わないようにしましょう。切ったときに汁が付き、病気を伝搬してしまいます。

球根の掘り上げ
 10〜11月頃、地表部が茶色く枯れ始めたら球根を掘り起こします。掘り起こすときに球根や根を傷つけないようにしましょう。
 球根と上根・茎を切り離し、下根は枯れたものだけ切り取ります。球根は一度消毒すると良いでしょう。
 球根は乾燥に弱いので、すぐに植え付けるかおがくずなどに入れせいぜい2週間程度の保存とします。チューリップの様にネットに入れて保存することは出来ません。

注意
 ユリは球根の段階から芽や花になる部分が決まっており、そこが傷つくと花が咲きません。
作業中に芽を傷めたり、虫にかじられたりしないように注意しましょう。

害虫・病気
 アブラムシ:暖かくなると飛んできて茎から汁を吸いながら増えます。汁を吸うときにウィルス病を伝搬してしまいます。
 ネキリムシ:地中で根をかみ切ってしまいます。植物の生長が途中で止まってしまった場合、ネキリムシが考えられます。
 ヨトウムシ:芽、葉、つぼみ、花を食害します。
 ナメクジ:芽、葉、つぼみ、花を食害します。ナメクジは通った後は粘液が付いてキラキラしてるのですぐわかります。鉢植えの時は鉢底を見てみると居ることがあります。
 軟腐病:球根に傷があり、そこから腐っていくことが多い。
 白絹病:高温多湿なときに球根や周囲の土に白いカビが生える。
 ボトリチヌス病:ウィルス病で、葉が黄色くなって落ち、茎だけになってしまいます。せっかくついたつぼみが咲く前にボトリと落ちることも・・・。