やがてタクシーが目的地に着くと、A子はもう一度、コンパクトで髪の乱れが残っていないか確認してから、ドアを叩いた。
遅いよー、さあ、はいってはいって。
ゴメン、でも、今日は家でもパーティーなの、わがまま言わないで早目に解放してね。
いかにも嬉しそうに出迎える彼に、A子はサンタみたくニッコリ笑いながら応じると思った。
待ちわびる者にとっては唯一無二の夢をかなえてくれる存在なのよね、サンタって。
それでいて、誰にでも平等に振舞わなきゃならないなんて、サンタさんってホントたいへん。
その夜、サンタになったA子が、5又をかけている男達が待ち望んだ夢を、壊すことはなかった。
vol.240j
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