極道息子が、会社をつくるだのベンジョー企業だのと分けのわからんこと言いおって。Aの母親はそのころ、古家のえんがわに腰をおろして、いつものようにお茶をすすりながら息子のことを考えていた。
 どうせあいつは今もセコセコした都会で、役に立ちもしない、くだらない仕事にあくせくしておるのじゃろうて。米や野菜をつくる田舎のくらしの、こうゆう一息が人間のほんまもんの幸せだと思うのじゃがのう。
 おお、今日も茶柱が立っておるわ。またいいことがあるかのう。わしは幸せもんじゃて。そう言って見つめる母親の湯のみの中には、息子のAが開発した健康茶に幸運を運ぶ茶柱が、今日も立っていた。

vol.51j
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